梅干を漬ける

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初めて梅干を漬けてみた。
塩をして一昼夜、水が上がってきていい香りがする。

レシピのような長田さんの詩をみつけた。


              梅干しのつくりかた      長田弘

     
     きみは梅の実を洗って

        いい水にゆったりと漬ける。

        苦味をぬいてよく水を切る。

        塩をからませて瓶につめる。

        押し蓋をして重石する。

        紙をかぶせ紐できっちりとしばる。

        冷たくて暗いところにおく。

        ときどき瓶をゆすってやって、

        あとは静かに休ませてやる。

        やがて、きれいに澄んだ水が上がってくるだろう。

        きみは瓶の蓋をあけて、

        よくよく揉みこんだ赤じその葉に
        
澄んだ梅酢をそそぐ。

        サッと赤くあざやかな色がひろがってくる。

        梅の実を赤い梅酢で、

        ふたたびひたひたにして重石する。

        紙をかぶせ紐できっちりとしばる。

        そしてきみは、土用の訪れるのを待つのだ。

        雲が切れて暑い日がやってきたら、

        梅の実をとりだして笊にならべる。

        きみは梅に、たっぷりと

        三日三晩、日差しと夜露をあたえる。

        梅の実が指にやさしくなるまでだ。

        きみの梅干しがぼくのかんがえる詩だ。

        詩の言葉は梅干しとおなじ材料でできている。

        水と手と、重石と古い知恵と、

        昼と夜と、あざやかな色と、

       とても酸っぱい真実で。


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# by myway2015 | 2016-06-13 10:19

5月の風

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風立ちぬ
いざゆきめやも

新しい風といっしょに旅立てるか

ワインのおりのように心の中に沈殿しているものがあって
飛び立とうとする足を捉えている
その「おり」はとても魅惑的なので
ふりきれない

ともあれ、この湖のこの浜は美しい
しばらくはひとやすみ


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# by myway2015 | 2016-05-17 10:55



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季節の好き嫌いが、年を経ると変わるらしい。

子どもの頃からそう遠くないむかしまでは、とにかく夏が好きだった。

今は、

忘れ形見のように、心を鎮めさせてくれる白いものを眺めたり

冷たいはりつめた空気の中に、ジンチョウゲが風の向きに漂ってふっと香りだしたり、

桜の幹の中で血流がどっどと脈打っているようなエネルギーの高まりの音を聴いたり、

・・そういうことのできる2月が少し好き。

中途半端で、もやもやとして、どちらともつかない3月は苦手。

で再び、昨年も書いた谷川俊太郎の詩、武満徹の作曲

「三月のうた」

わたしは花を捨てて行く、ものみな芽吹く三月に
わたしは道を捨てて行く 子等のかけだす三月に
わたしは愛だけを抱いてゆく
よろこびとおそれとおまえ
おまえの笑う三月に



と、この歌があるから三月が少し苦しいのね。

とにもかくにも、4月となりました。新しい新しい4月!
漠然とした茫洋とした4月。

桜狂想曲が終わったら若葉青葉の季節がやってくる。
それまでこの4月の中でうごうごと蠢くことにいたしましょう。


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# by myway2015 | 2016-04-06 13:31

白い華麗なる魔物

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「白い色は恋人の色」と歌ったのはベッツイ&クリス?

早春の、白い花の大群は、恋人の色どころではない。
風にうねり盛りあがりさんざめき、おそいかかる魔物の手足のような白い群れ。

白髪三千丈

白は、清潔純真というよりはすべて知り尽くして血の色も抜けたような
ある種の恐ろしささえ感じる色

梅も雪柳も木蓮も桜も、春に花咲くためにどれだけのエネルギーを必要としているのだろう。


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# by myway2015 | 2016-03-14 21:57

佐保姫のおでまし

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    春の姫神は、はにかみながら少しづつ顔をのぞかせる。

    冬将軍様が、まだ何度かもどってくるかもしれないけれど、
    「ほら、もうここにいるわよ」なんて陽射しの中で微笑んでいる。

    その明るい笑顔に誘われて、白いブラウスにピンクのカーディガンなど羽織って街を歩きたい気分。

    *
    佐保姫の糸染め掛くる青柳を吹きな乱りそ春の山風

    平兼盛詞花集



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    # by myway2015 | 2016-03-08 14:17