2015年 05月 01日
初夏の歌 2
5月の、この心浮き立つ感じはなんだろう。
たぶん今までの人生の中でたくさんの貴重な出会いがあったのも5月であったし、
何よりも何よりもすべてが緑に萌え万物が新しいエネルギーに満ちているからであろう。
「爽やかな緑よ、明るい緑よ..」 松永宮生作詩 平岡均之作曲「若葉」
「5月の花が咲いたら旅に出掛けましょう..」 峯陽作曲 小林秀雄作曲「あなたと私と花たちと」
「そして5月が匂う時約束交わした二人の愛..」作者不詳「リラのビギン」
「A ce permier jour de may..」 ジャヌカン「鳥の歌」
「Im wunderschǒnen Monat Mai..」ハイネ作詩 シューマン作曲
・・・・etc.
日本もフランスもドイツもこの美しい5月を謳歌する。
明るさがいっそう懐かしさを引き戻す。
2015年 04月 24日
初夏のうた
春が過ぎ初夏が近づくと好きな歌がたくさんあって困る。
花や草や木や田畑やそこに働く人々や子ども・・伝えていかなければ忘れられてしまう日本の美しい言葉。
とりあえず「夏は来ぬ」
佐々木信綱作詩 小山作之助作曲
卯の花の におう垣根に
ほととぎす 早も来啼きて
忍音もらす 夏は来ぬ
さみだれの そそぐ山田に
早乙女が 裳裾ぬらして
玉苗植うる 夏は来ぬ
橘のかおる 軒端に
窓近く 蛍とびかい
おこたりいさむる 夏は来ぬ
☆
写真は卯の花ではなくて夏ミカンの花
2015年 04月 03日
さくら横ちょう
東京にこんなにたくさん桜があったかしら。
電車の窓から、橋の上から、道の曲り角から眺めればそこかしこ、花咲爺さんが灰を撒いたかと思うほど景色が一変。
街は桜色。
こんなに明るく華やぐのになぜか歌の世界はしっとりと哀しい。
別宮貞雄による作曲もあるが、やはりよく知られた中田さんがよい。
加藤周一作詩、中田喜直作曲
「さくら横ちょう」
春の宵 さくらが咲くと
花ばかり さくら横ちょう
想い出す 恋の昨日(きのう)
君は もうここにいないと
ああ いつも 花の女王
ほほえんだ 夢のふるさと
春の宵 さくらが咲くと
花ばかり さくら横ちょう
会い見るの時は なかろう
「その後どう」「しばらくねえ」と
言ったってはじまらないと
心得て 花でも見よう
春の宵 さくらが咲くと
花ばかり さくら横ちょう
2015年 03月 26日
カナメ・タンゴ
タンゴは失恋したときに聴くのがいい、と言っていたのは誰だったろう?
父が好きだったアルフレッド・ハウゼとオーケストラの流麗なコンチネンタルタンゴの数々。
時が経ってピアソラとヨーヨーマのリベルタンゴも衝撃的だった。
西陽を受けて燃え上がるベニカナメに、タンゴの情念の様なものを感じてしばらく見つめていた。
物置小屋に映ったその影は、その強烈な赤とは反対に幻想的で静かで日本的でさえある。
桜が開花し始めた春の日。
2015年 03月 17日
3月の別れ
2月の、まだ冷たく雪のたよりが届く時季は、春を待つ喜びと緊張感で心が沸き立っているのだが
3月も中旬となると春霞の中にぼんやりと置かれているようで所在ない。
木の芽は芽吹き、つぼみは膨らみ、春の来る喜びに満ちているのに。
これは花粉症だけが原因ではあるまいに。
で
最近ではどうしてもこの歌が口から出てくる。
武満徹作曲、谷川俊太郎作詩「三月のうた」
わたしは花を捨てて行く
ものみな芽吹く三月に
わたしは道を捨てて行く
子等のかけだす三月に
わたしは愛だけを抱いて行く
よろこびとおそれとおまえ
おまえの笑う三月に